村井 基彦 (Motohiko MURAI)

研究室ホームページ

     職名  教授
 研究キーワード 海洋空間利用・メガフロート
 E-mail  murai-motohiko-pz@ynu.ac.jp
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研究理念
日本は四方を海に囲まれた島国で、世界第6位の広大な経済水域を有しています。この広大な海洋空間のポテンシャルを引き出すために、海洋基本法が出来ました。しかし、現実として海洋のポテンシャルを理解し、運用できる人材の絶対数がまだまだ不足しています。
 研究室では、海洋工学や海洋環境工学を軸に、その広大な海洋空間を如何に利用するか・人間活動と海洋環境との共存とは何かを常に問いかけながら、浮体構造物(メガフロート)による海洋空間利用に関する研究や、海の公園をフィールドとした潮干狩りの実態調査研究等の研究を行っています。スタンスとしては"まずは、やってみる"です。
 研究室のメンバーには、研究室でのいろいろな活動を通して、世の中の役に立ちたい・まだ誰も知らないことに気づきたいという姿勢を磨きつつ、物事を前向きにとらえ、勇気を持って前進する楽しみを味わえる人物になることを求めています。こうした人材が卒業生となって社会で成長・活躍することで、陸地面積よりも海洋面積の方が圧倒的に多い日本が、海洋に関する利用・管理の理念・技術で世界をリードし、海洋のポテンシャルを引き出していく礎の一つになると信じています。

主な研究テーマ
海で安全に浮かぶ構造物を極める
海で安全に浮かぶ構造物には、「沈まない」・「揺れない」・「壊れない」が要求されます。研究室では、主に波の中で「揺れない」「壊れない→曲がらない」構造物について研究しています。アプローチとしては、「波の中で浮いているモノはどのように揺れたりや曲がったりするのか?」「どうすれば波の中で揺れにくく曲がりにくいモノをつくれるのか?」といった視点から、コンピュータを用いたシミュレーションや水槽実験を中心に研究をしています。また、最近では海に上に浮かぶモノだけでなく、海の中で活躍するライザーや係留などについての研究も始めています。

図:小型水槽でのメガフロートの動揺実験

海にあるエネルギーを引き出す
海には巨大なエネルギーが潜んでいます。浜辺に波が寄せたり、遠くの島から空き瓶が流れ着いたり、あるいは風が海の香りを運んだり。こんなことが起きるのは、海にエネルギーがあるからです。研究室では、海にあるエネルギーを取り出すことに関する研究を行っています。具体的には「波の力」や「風の力」を海に浮かぶ施設で取り出すことを研究しています。海の上ですので、陸上のようにがっちり据え付けられる施設を対象とはしていません。海の上に「浮かびつつ=動きながら」どのように効率よくエネルギーを取り出すのかというのが思案のしどころになります。最近では、海で得たエネルギーをどのようにして使うのがよいのかという研究も始めています。

図:波の力から圧電素子を利用して電力を得る実験

海にとって安全な浮かぶ構造物を極める
海にとって安全に浮かぶ構造物には、「自然・環境・生態系を破壊しない」ことが要求されます。しかし、海に人工物を設置することは必ず大なり小なり影響があります。研究室では、主に「海に巨大なモノを浮かべると海の流れにはどのような影響があるのか?」「どうすれば海の環境や流れに影響が少ない巨大なモノを作ることが出来るのか?」「そもそも、海洋利用による海への環境影響ってどう評価すればいいのだろうか?」といった視点から、コンピュータを用いたシミュレーションや調査研究を中心に研究をしています。

図:浮体式海上空港を想定した流況の計算(東京湾)

海を持続的に利用するとは何か
海を持続的に利用するとは、「海が普通の海であり続けられること」だと思います。しかし、「『普通の海』って何だろう?」という疑問に直面します。研究室では、横浜市内の海の公園を対象として、継続的なアサリの実態調査をしています。海の公園には毎年何万人もの人が潮干狩りに訪れます。潮干狩りの出来る海は良い海、悪い海、普通の海?のどれなのでしょうか?とかく、こうした自然を相手にした研究では『人の影響』を嫌います。研究室では、潮干狩りも自然活動の一部と捉える視点で、調査研究、コンピュータを用いた潮干狩りシミュレーションを通して、持続的な海について研究を行っています。

図:潮干狩りの行動シミュレーション