宮路 幸二 (Kouji MIYAJI)

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     職名  教授
 研究キーワード 高速気流・空力性能
 E-mail  miyaji-koji-cg@ynu.ac.jp
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研究理念
当研究室では、航空機および宇宙往還機のまわりの気流に関わる諸問題を研究テーマとしています。気流の解析手段として、主にコンピュータ・シミュレーションを用います。研究対象は、亜音速旅客機の高揚力装置(気流マッハ数0.2程度)から、超音速飛行機の巡航状態の流れ(気流マッハ数2程度)、更に将来型エンジン内部の流れ(気流マッハ数2以上)といった、低速から高速まで、理想気体から反応性混合気体に及びます。また、飛行機・宇宙機といった輸送システム設計においては、空気力学だけでなく設計に関わる複合分野の整合性を図る必要があるため、多分野統合数値シミュレーション手法の研究開発を進めています。これらの研究テーマ例として、空気力学と航空機力学を連成した航空機の動安定性解析、あるいは、空気力学と弾性力学を連成した翼のフラッター解析に関する研究が挙げられます。実際の機体を再現する忠実度と計算精度の高い統合シミュレーションを可能にすることで、高度な航空機・宇宙機設計システムの構築を目指しています。これら研究テーマのいくつかは、他大学やJAXAなどの他研究機関との共同研究として進められ、できるだけ共同実験にも参画するようにしています。

主な研究テーマ
飛行機の高揚力装置の空力性能予測に関する数値シミュレーション
飛行機の離着陸性能を向上させるための高揚力装置は、複雑な形状を有し、大きな姿勢角(迎え角)をとるために、巡航状態よりも数値シミュレーションが困難とされ、予測精度の向上が望まれる。図に示す機体形状は、JAXAより提供を受け、高揚力装置のシミュレーションのワークショップに参加する際に当研究室で解析を実施したものである。


回転(ロール)運動するデルタ翼のまわりの流れの数値シミュレーション
デルタ翼は超音速飛行時の空気抵抗が小さいことから、高速航空機や宇宙往還機に用いられるが、離着陸時に大きな迎え角を必要とする。そのような飛行条件では、翼がロール軸まわりに振動的な運動をすることがあるため、気流と翼の運動を予測する数値シミュレーションを実施し、図に示す渦の時間変化が飛行姿勢安定性に及ぼす影響について調べた。


飛行機の尾翼の空力弾性振動(フラッター)に関する数値シミュレーション
飛行機の翼は、機体の重量と空気抵抗を低減するために、軽く、薄くつくられ、飛行中に空気力を受けて変形する。翼の剛さが十分でない場合、破壊へとつながる発散振動を生じうる。図の空力弾性数値シミュレーションは、試験飛行機体の開発のために実施された。翼の材料と内部の構造を忠実に再現し、さまざまな気流条件で翼の振動の安定性を調べた。